技術部の山本です。今日は前回に引き続き「Forward to 1985 energy life」全国省エネミーティングのパネルディスカッションのレポートです。
前回は最適な断熱レベルについて書きましたが、今日はもう一つのお題「最適な冷暖房スケジュール」使い方です。
設備は「エアコン」に決まりです。当たり前ですが”冷”機能のある設備は基本エアコンだけですし、”暖”の効率がいいのもエアコンです(正確にはヒートポンプ)問題は使い方。その点において共通した見解として日射熱取得の重要性を言われてました。特に前さんは、いつも通りサーモカメラの画像をバンバン映して日射熱の様子をわかりやすく解説されていました。
明治村で撮影された森鴎外・夏目漱石自宅。エアコンが無かったころの日射遮蔽はより重要。定番アイテムのよしずです。 |
サーモカメラで撮ってみると・・・白い部分は最も温度が高い部分。よしずもそうですが地面が暑い!!よしず効果が濡れ縁も見てもわかりますが、気温が高ければそもそも暑いのに変わりはありません。 |
今年は印象的に特に暑い夏でしたが、地味に寒さが続く冬の方がエネルギーは使いますので、冬場は太陽と仲良く出来る様にやはり南面には大きな開口があるべきです。一方で夏の強烈すぎる日射を遮る(日射遮蔽)算段も必ず必要です。軒ゼロ・庇なしはカッコいいですが・・・住みやすいとは言えません。冬場は出来る限り日中はエアコンを使わず日射取得をして夜間エアコンを使う。逆に夏場は使用エネルギー量、使用期間を考えると高断熱・高気密(これ重要)住宅で高効率エアコンなら連続運転でも間欠運転と光熱費はほとんど変わらないシミュレーションも紹介されました。
そしてエアコンの嫌われる最大の問題が”風”ではないでしょうか?夏の吹き出し口から出る冷たい空気(15℃くらい)がファンの風にのって直撃すると数分で不快になります。冬の暖房時は、そもそも風にのってきますし、温度もガスや石油ファンヒーターに比べたら断然低いので、「寒い」と言われてしまう事も・・・しかしこれはエアコンの問題ではなくその建物の断熱・気密の問題です。高断熱・高気密の温度差の無い空間であればエアコンでも快適ですが、やはり風を直接受けると”乾燥”状態になってしまいます。いずれにしてもエアコンの問題点はファンで送られる風です。その問題を解決するには設置場所がポイントになります。松尾さんは自身が設計する場合は床下と小屋裏に1台づつエアコンを設置するそうですが、エアコンの最大効率を引き出し、全館にくまなく暖冷気を送るのは簡単ではないそうですし、それについては多少企業秘密感がありましたww
さて、この記事を読んで頂いてる方は、なかなかマニアックな方ではないでしょうか?ww当日の会場でもこのような話(もっとマニアックな)がどんどん繰り広げられあっという間に時間が過ぎてしまいました。が、当然この分野では第一線で活躍されている方々ばかりですので、終盤はかなり専門的なやり取りも多く、会場にみえた一般の方にはどの程度伝わったのか?という疑問もあり、ふと我に返ると私自身もお客様に話すときには、こんな状態(置き去り感ww)になってはいないか?と反省しました。
しかし、あらためて会場に来られていた皆さんはとても勉強されているんだろうな~と思うと、常に自分の知識を最新の情報にアップデートして、精査しすこしでも分かりやすくお伝えして、快適な家づくりをしていかないといけないな~と痛感しました。
本年度のZEH補助事業は終了しましたが、ますますいい提案が出来る様にしていきますので、家づくりをお考えの方は、お気軽にご相談下さい。