こんにちは技術部の山本です。8/19㈰に「Forward to 1985 energy life」の全国省エネミーティングというイベントが開催されたので行ってきました。
「Forward to 1985 energy life」とは野池政宏氏が代表をつとめる活動で「1985アクションとは、家庭でのエネルギー消費量を賢く減らして、1985年当時のレベルにしようというアクションです。」Forward to 1985 energy life HP より引用 興味のある方は是非HPをご覧下さい。
実は、現在太陽住宅が建物の断熱性能やパッシブデザインにこだわるようになったのが代表の野池さんが講師をされた三河パッシブ研究会というものに参加をしたのがきっかけでした。そういった事もあり今回久しぶりに野池さんの話を聞けるとあって大変楽しみにしていたイベントです。
1985アクションの代表 パッシブデザインをわかりやすく教えて頂いた野池政宏さん |
この4名が一同に会し同じテーマで話すなんて!めちゃ楽しみです |
通常こういったイベントは平日開催が多いのですが、今回は「1985アクション」を実務者だけではなく広く皆さんに知ってもらおう!という趣旨ですので日曜開催というわけです。
会場では、パッシブや省エネ化関連の企業ブースや子供向けワークショップ、パッシブデザインハウスの事例展示など様々な催しがありましたが、私の目当ては野池さんのほかパッシブハウスジャパン理事で松尾設計室代表の松尾和也氏、建築環境の研究をされている東京大学准教授の前真之氏によるパネルディスカッション!松尾さんはつい先日YKKのAPWフォーラムで講演を見たばかりですが、とても論理的に断熱の重要性を語られる方ですし、前さんについては、あるイベントで以前直接東大の教室で講義を聞いて研究室も見学させて頂いたこともあり、更に著書「エコハウスのウソ」が私のバイブルと言ってもいい方です。と、前置きだけでも当日の私のテンションがお分かりいただけるかとwww
今回御三方のトークは2つのテーマについて、それぞれの見解を発表されます。そこから進行役の新建ハウジング社長の三浦さんが最適解をとりまとめていくといった感じです。
テーマは
・最適な断熱レベル
・最適な冷暖房スケジュール
シンプルなテーマですが、実はこれって本当に難しい問題です。
本来は私も実務者ですから、客観的情報を発信するべきだと思いますが、ここはブログですので、3名のお話を聞いた感想を書こうと思います。というのも結論的には”正解”はなく個々の判断となります。が、納得する判断が出来る為に様々な情報を発信するのが私たちの役割です。
まず最適な(住宅の)断熱レベルですが、快適性、(住んだ後の)経済性を考えれば、出来る限り断熱性を上げた方が良いのは間違いありません。が、断熱レベルを上げるには当然コストがかかります。そう、御三方の話のポイントもそこにありました!一体高断熱の最適コスパはどこなのか?それに対して非常にわかりやすい解説をされたのが松尾さんでした。
イニシャル最安の改正省エネ基準では約10年でランニングコストが断熱レベルG1グレードを上回ってしまいます。更にG1で30年。それ以上住むならG2グレードでなければ生涯コストは残らない光熱費が上回るよっていうグラフ。これはスゴイ! |
更に松尾さん自身が電気代上昇率などを勘案してシミュレーションをされたグラフ。ただし断熱グレードではなく年間エネルギー消費量で比較しています。もちろん断熱性が高ければ自分が住む家にかけたコストの恩恵を長く享受できますし、損益分岐(この場合の損は光熱費)はもう一つのグラフより早い!!安物買いのなんとやら・・・高額商品ならなおさら気を付けたいですよね! |
表のとおり「何年住むか?」によってほぼ答えがでます。例えば私達が多く携わっている20代から30代のお施主さんであれば最低30年、それ以上住むことが想定されます。そうなると、イニシャルコストだけで考えるのはとても危険!ひとまず「値打ち感」のある住まいを手に入れてもその後何十年もその家のせいで手元に残らない出費をし続ける事になります。あらためて家に限らずモノの価値は買値だけではないな~と実感しました。
このほかにも多くのお話がありましたが、主観ではなくどんな検証方法を使っても自分のお金を部屋の空気の暖冷に使い捨てるのか、住み続ける我が家にそのお金を使って資産に変えるのか?どちらが賢い選択なのか。この逆説(低断熱が良)は現状まず立証できないはずです。
敷地などの建築条件によって一概には言えませんが、この先30年は住むマイホームをお考えであれば断熱グレードはHEAT20のG2グレード、このエリアのUA値では0.46が最適ではないか との結論でした。ZEH基準すら大きく上回る基準ですのでなかなかのハードルですが、今後ますますこういったデータが出てきてお客様にご提案できたらと思いました。
今回は出来るだけ簡潔にお伝えしようと思っていましたが、やはり長文になってしまったので「最適な冷暖房スケジュール」については次回お伝えします。